ADHDでも精神障害者保健福祉手帳の対象になる可能性はあります。ただし、3級になるかどうかはADHDという診断名だけでは決まらず、日常生活や仕事への支障、能力障害の状態などを含めて総合的に判断されます。
「ADHDで障害者手帳3級は取れるのか」「取るメリットはあるのか」「会社にバレるのか」「申請してももらえないことはあるのか」と不安になる人は少なくありません。この記事では、ADHDと精神障害者保健福祉手帳3級の考え方、メリット・デメリット、申請前に整理すること、手帳以外の選択肢を解説します。
情報確認日: 2026年7月3日
この記事は一般情報であり、手帳の交付可否や等級を判定するものではありません。精神障害者保健福祉手帳の申請方法、必要書類、サービス内容は自治体によって異なることがあります。最終的には、主治医、市区町村の担当窓口、精神保健福祉センター等に確認してください。
結論:ADHDでも手帳3級の対象になり得るが、診断名だけでは決まらない

ADHDがある人でも、精神障害者保健福祉手帳の対象になる可能性はあります。ただし、「ADHDと診断されたから3級」「仕事でミスがあるから必ず交付」という仕組みではありません。
厚生労働省は、精神障害者保健福祉手帳について、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するもので、等級は精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断されると説明しています。
| 誤解しやすい考え方 | 実際に見たい考え方 |
|---|---|
| ADHDなら必ず手帳が取れる | 診断名だけでなく生活・仕事への支障を見る |
| 3級は簡単に取れる | 等級は状態や能力障害を総合的に判断する |
| 手帳を取れば必ず就職が有利 | 使い方、職場選び、伝え方によって変わる |
| 手帳を取ると会社に必ず知られる | 手帳取得と職場への開示は分けて考える |
| 取れなければ支援が使えない | 自立支援医療、相談支援、就労移行支援など別の選択肢もある |
大切なのは、「取れるかどうか」を一人で悩み続けることではなく、今の困りごと、生活への影響、仕事上の支障、必要な支援を整理することです。
ADHDで使う手帳は主に「精神障害者保健福祉手帳」

障害者手帳という言葉は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をまとめた一般的な呼び方です。ADHDなどの発達障害で申請を考える場合、主に関係するのは精神障害者保健福祉手帳です。
| 手帳の種類 | 主な対象 |
|---|---|
| 身体障害者手帳 | 身体機能に一定以上の障害がある人 |
| 療育手帳 | 知的障害があると判定された人 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 一定程度の精神障害の状態にある人 |
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害のある人の自立と社会参加を促進するための制度です。手帳を持っていることで、障害者雇用、税制上の控除、自治体や事業者のサービスなどにつながる場合があります。
3級はどんな状態で検討されるのか

精神障害者保健福祉手帳には1級、2級、3級があります。3級は、精神疾患の状態と能力障害の状態を踏まえ、日常生活や社会生活に一定の制限がある場合に検討される等級です。
ただし、この記事で「あなたは3級です」と判断することはできません。等級は、主治医の診断書、本人の状態、日常生活や社会生活への影響などをもとに審査されます。
| 申請前に整理したいこと | 例 |
|---|---|
| 生活上の支障 | 家事、金銭管理、通院、睡眠、外出、対人関係 |
| 仕事上の支障 | ミス、遅刻、欠勤、段取り、報連相、対人トラブル |
| 支援が必要な場面 | 予定管理、服薬管理、職場での指示、相談先 |
| 継続している困りごと | いつから、どれくらい続いているか |
| すでに受けている支援 | 通院、服薬、カウンセリング、職場調整、就労支援 |
手帳3級を考える時は、症状名よりも「どの場面で、どれくらい生活や仕事に影響しているか」を言葉にすることが重要です。
ADHDの診断名だけでは手帳の等級が決まらない理由

同じADHDの診断名でも、困りごとの出方や生活への影響は人によって違います。仕事で大きな支障がある人もいれば、職場環境や工夫によって安定して働けている人もいます。
| 見られやすい観点 | ADHDで整理しやすい例 |
|---|---|
| 不注意 | 重要書類をなくす、確認漏れが続く、指示を聞き漏らす |
| 衝動性 | 早合点で対応する、言い過ぎる、金銭管理で失敗する |
| 時間管理 | 遅刻、締切遅れ、予定の重複が続く |
| 段取り | 家事や仕事を順序立てられず生活が崩れる |
| 二次的な不調 | 不眠、不安、抑うつ、欠勤、対人不安が続く |
「ADHDの症状がある」だけでなく、「その症状が日常生活や仕事にどんな制限を生んでいるか」を主治医に伝えられるようにしておくと、相談が進めやすくなります。
関連: ADHD診断はしない方がいい?受けるメリット・デメリットと判断基準
手帳3級を取得するメリット

精神障害者保健福祉手帳を取得すると、障害者雇用への応募、税制上の障害者控除、自治体や交通・公共施設などのサービスにつながる場合があります。ただし、使える制度やサービスは自治体・事業者・本人の状況によって異なります。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 障害者雇用を検討できる | 障害者雇用枠の求人に応募しやすくなる |
| 職場で配慮を相談しやすくなる | 必要な配慮を説明する材料になる |
| 税制上の控除につながることがある | 所得税などで障害者控除の対象になる場合がある |
| 自治体や事業者のサービスを使えることがある | 交通、公共施設、公共料金等の割引や支援がある場合がある |
| 支援機関とつながりやすくなる | ハローワーク、就労移行支援、相談支援と連携しやすくなる |
メリットは「手帳を持つだけで自動的に楽になる」という意味ではありません。手帳をどう使うか、どこに伝えるか、どの働き方を選ぶかを一緒に考える必要があります。
関連: 発達障害は障害者雇用と一般雇用どっちがいい?オープン・クローズの違いと選び方
手帳を申請する前に知っておきたいデメリット・注意点

手帳にはメリットがありますが、申請前に知っておきたい注意点もあります。特に、心理的抵抗、更新や手続きの負担、職場に伝えるかどうか、情報管理は事前に整理しておきたいポイントです。
| 注意点 | 考え方 |
|---|---|
| 心理的な抵抗がある | 「障害者」と認めるようでつらいと感じる人もいる |
| 申請や更新に手間がかかる | 診断書、写真、窓口手続き、更新確認が必要になる |
| 取得しても使わなければメリットが小さい | 障害者雇用や控除など、使う場面を考える必要がある |
| 職場に伝えるか迷う | 取得と開示は分けて考える |
| 期待した等級や交付にならないことがある | 審査結果は診断名だけでは決まらない |
手帳を取ること自体が正解とは限りません。今すぐ申請する、主治医に相談してから決める、別制度を先に使う、職場調整を先に試すなど、段階的に考えてよいテーマです。
会社にバレる?職場に伝えるかどうかの考え方

精神障害者保健福祉手帳を取得しただけで、勤務先に自動的に通知されるわけではありません。ただし、障害者雇用で応募する、職場に合理的配慮を求める、年末調整で障害者控除を申告するなど、手帳を使う場面では情報を伝える必要が出ることがあります。
| 場面 | 職場に伝える可能性 |
|---|---|
| 手帳を取得しただけ | 通常は自分から伝えなければ職場に知られにくい |
| 障害者雇用で応募する | 応募・採用過程で伝えることが前提になりやすい |
| 合理的配慮を相談する | 困りごとや必要な配慮を説明する必要がある |
| 年末調整で控除を使う | 会社の手続き担当に情報が伝わる可能性がある |
| 確定申告で控除を使う | 職場を通さず申告する方法を確認できる場合がある |
「バレるかどうか」が不安な場合は、手帳を取るかどうかと、職場に伝えるかどうかを分けて考えましょう。税や職場手続きの情報管理は、自治体、税務署、勤務先の担当部署、支援者に確認してください。
関連: 発達障害で仕事の配慮は何をお願いすればいい?合理的配慮の例と伝え方
申請前に準備するものと流れ

精神障害者保健福祉手帳の申請は、市町村の担当窓口を経由して行います。具体的な必要書類や手続きは自治体によって異なるため、必ず住んでいる市区町村の担当窓口で確認してください。
一般的には、次のような流れで考えます。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1. 主治医に相談する | ADHDの診断、生活・仕事への支障、手帳申請の可否を相談する |
| 2. 市区町村窓口で確認する | 必要書類、写真、申請書、診断書様式、更新方法を確認する |
| 3. 困りごとを整理する | 生活・仕事で困る場面、支援が必要な場面をメモする |
| 4. 診断書等を準備する | 主治医に診断書作成を相談する |
| 5. 申請する | 市区町村の担当窓口に提出する |
| 6. 結果を待つ | 交付可否や等級の結果を確認する |
| 7. 使い方を考える | 障害者雇用、控除、サービス、職場配慮などに使うか検討する |
主治医に相談する時は、「手帳がほしいです」だけでなく、仕事や生活で実際に何が起きているかを具体的に伝えることが大切です。
手帳が取れない・迷う時の別の選択肢

手帳が交付されない場合や、申請するか迷う場合でも、使える支援がまったくないわけではありません。ADHDで困っている時は、医療、職場調整、福祉サービス、就労支援を組み合わせて考えます。
| 選択肢 | できること |
|---|---|
| 自立支援医療 | 通院医療費の負担軽減を検討できる場合がある |
| 職場での配慮相談 | 診断名ではなく困りごと・影響・調整案を相談する |
| 発達障害者支援センター | 生活・仕事・支援機関へのつなぎを相談する |
| ハローワーク | 障害者雇用や職業相談を確認する |
| 就労移行支援 | 働き方、配慮事項、就職準備、職場定着を整理する |
| 相談支援・自治体窓口 | 利用できる福祉サービスや相談先を確認する |
「手帳がないから何も使えない」と決めつけないでください。手帳が必要な制度もありますが、手帳以外の相談先や支援もあります。
関連: 就労移行支援とは?対象者・料金・期間・向いている人をわかりやすく解説
障害者雇用・就労移行支援につなげる判断表

手帳を申請するかどうかは、「手帳が取れるか」だけで決めるより、「何のために使うのか」で考えると整理しやすくなります。
| 今の状態 | 考えやすい選択肢 |
|---|---|
| 一般雇用で働けているが一部配慮がほしい | 職場内の調整、合理的配慮の相談 |
| ミスや欠勤が続き、今の働き方が限界 | 主治医、市区町村、発達障害者支援センターに相談 |
| 障害者雇用を検討したい | 手帳申請、ハローワーク、障害者雇用記事を確認 |
| 働き方や配慮事項を自分で整理できない | 就労移行支援、相談支援、職場実習を検討 |
| 手帳に抵抗がある | まず自立支援医療、職場調整、相談先利用から検討 |
| 申請しても取れるか不安 | 主治医に生活・仕事への支障を具体的に相談 |
手帳は「ラベル」ではなく、必要な支援につながるための選択肢の一つです。申請するかどうかは、仕事、生活、医療、制度利用の目的を分けて考えましょう。
まとめ:手帳は「ラベル」ではなく、支援を使うための選択肢

ADHDでも精神障害者保健福祉手帳の対象になる可能性はあります。ただし、3級になるかどうかはADHDという診断名だけでは決まらず、日常生活や仕事への支障、能力障害の状態などを含めて総合的に判断されます。
手帳3級を考える時は、まず「何のために手帳を使いたいのか」を整理してください。障害者雇用を検討したいのか、税制上の控除や自治体サービスを確認したいのか、職場に配慮を相談したいのかによって、次の行動は変わります。
申請に迷う場合は、主治医、市区町村の担当窓口、発達障害者支援センター、ハローワーク、就労移行支援などに相談しましょう。手帳を取るかどうかを一人で抱え込まず、仕事と生活を安定させるための選択肢として検討することが大切です。
よくある質問
ADHDだけで障害者手帳3級は取れますか?
ADHDでも精神障害者保健福祉手帳の対象になる可能性はあります。ただし、ADHDという診断名だけで3級と決まるわけではなく、生活や仕事への支障、能力障害の状態などを含めて総合的に判断されます。
ADHDで障害者手帳をもらえないことはありますか?
あります。診断名があっても、審査で手帳の対象となる状態と判断されない場合や、期待した等級にならない場合があります。申請前に主治医へ、生活や仕事への支障を具体的に相談してください。
障害者手帳3級を取るメリットは何ですか?
障害者雇用への応募、職場での配慮相談、税制上の障害者控除、自治体や事業者のサービスにつながる場合があります。ただし、使える制度やサービスは自治体や本人の状況によって異なります。
障害者手帳を取るデメリットはありますか?
申請や更新の手間、心理的抵抗、職場に伝えるかどうかの迷い、期待した結果にならない可能性があります。手帳取得と職場への開示は分けて考えることが大切です。
障害者手帳を取ると会社にバレますか?
手帳を取得しただけで勤務先に自動通知されるわけではありません。ただし、障害者雇用で応募する、配慮を求める、年末調整で障害者控除を使うなどの場面では、情報を伝える必要が出ることがあります。
手帳がなくても障害者雇用で働けますか?
障害者雇用枠の求人や採用手続きでは、障害者手帳の有無を確認されることが多いです。ただし、職業相談や支援機関への相談は手帳取得前でもできる場合があります。ハローワークや支援機関に確認してください。
手帳を取るか迷う時はどこに相談すればいいですか?
主治医、市区町村の障害福祉窓口、発達障害者支援センター、ハローワーク、就労移行支援などに相談できます。申請するかどうかだけでなく、何の支援を使いたいのかを一緒に整理すると進めやすくなります。
参考情報
情報確認日: 2026年7月3日

